役員退職金の節税効果を最大化!社長と社員が喜ぶ準備方法

会社の成長と社員の生活を守るために、日々奔走されている中小企業経営者の皆様。ご自身の「退職金」の準備は万全でしょうか?
「社員のことは考えているが、自分のことは後回しになっている」
「退職する時に、会社の内部留保から出せばいいと考えている」
実は、このようなお考えの社長は非常に多いのが現状です。しかし、何の対策もせずに内部留保から退職金を準備すると、税金面で大きな損をしてしまう可能性があります。
この記事では、役員退職金における税金の仕組みや、効果的な節税シミュレーション、そして社長ご自身だけでなく社員も喜ぶ準備方法について解説します。
最後までお読みいただくことで、手元に残る資金を最大化しながら、会社をより良くするための具体的なステップが明確になるはずです。
目次
役員退職金の準備、なぜ「節税」を意識すべきなのか?
退職金は、人生の集大成とも言える大切な資金です。まずは、なぜ計画的な準備と「節税」の意識が必要なのかを見ていきましょう。
多くの社長が陥る「内部留保からの支払い」の罠
会社の業績を上げ、利益を内部留保(利益剰余金)として貯めておくことは、経営の安定において非常に重要です。
しかし、「いざ自分が引退する時に、この内部留保から退職金をもらおう」と考えている場合は注意が必要です。なぜなら、内部留保はすでに「法人税」が課せられた後の資金だからです。
その法人税が引かれた後の資金から退職金を受け取ると、今度は社長個人に「所得税・住民税」がかかります。つまり、実質的に「法人と個人で2重に税金を負担しているような状態」になり、大変もったいないのです。
では、どうすれば資金効率よく退職金を準備できるのでしょうか?
▼ あわせて読みたい
内部留保で作る経営者の退職金はもったいない!より効率的な制度とは退職金には大きな税制優遇(退職所得控除)がある
賢く資金を手元に残すための第一歩は、役員報酬として受け取るのではなく、「退職金(退職所得)」として受け取る仕組みを作ることです。
日本の税制では、長年の功労に報いる性質を持つ退職金に対して、非常に大きな税制優遇(退職所得控除)が設けられています。一定の計算式に基づいて大幅に税金が軽減されるため、同じ金額を毎月の報酬として受け取るよりも、手取り額が大きくなる可能性が高いのです。(※執筆時点の税制に基づきます)
💡 ポイント
- 内部留保からの退職金支払いは資金効率が悪くなりやすい
- 退職金(退職所得)には手厚い税制優遇が用意されている
- 計画的に「経費」として準備していくことが節税の鍵となる
▼ こちらもチェック
実際の給与でいくら節税できる?将来の退職金をシミュレーションで見てみる税制優遇をフル活用!役員退職金の賢い準備方法
退職金としての受け取りが税務上有利であることはお伝えした通りですが、次に直面する課題は「その原資をどのような方法で準備するか」です。
現金や役員報酬の増額だけで備えるのはもったいない
例えば、退職金のために会社の現金をただ銀行口座に積み立てておくだけでは、利息はほとんどつかず、インフレ(物価上昇)によって実質的な価値が目減りしてしまうリスクがあります。
また、個人の手取りを増やして自分で備えようと役員報酬を増額すれば、それに伴って個人の所得税や社会保険料の負担が重くなり、手元に残る金額は思った以上に少なくなってしまいます。
そこで活用したいのが、国の税制優遇制度を利用した積立です。
企業型DC(確定拠出年金)などを活用して積み立てた場合、毎月の掛金は会社の経費(全額損金)として計上できるため、法人税の軽減につながります。さらに、運用によって得られた利益も全額非課税となるため、税金で目減りすることなく、複利効果で効率的に資産を増やすことが可能です。
このように、単なる現金積立や役員報酬の増額で備える場合と、税制優遇制度をフル活用して備える場合とでは、最終的に手元に残る金額や節税効果に大きな差が生まれるのです。
\ ご自身の効率的な老後資金の準備に! /
実際の給与で計算してみる(節税額・将来の退職金シミュレーターへ)
社長も社員も喜ぶ節税対策!「企業型DC(確定拠出年金)」という選択肢
役員退職金を効率的かつ効果的に準備するための具体的な解決策として、いま多くの中小企業が導入を進めているのが「企業型DC(企業型確定拠出年金)」です。
企業型DCが役員退職金の準備に最適な理由
企業型DCは、会社が掛金を拠出し、加入者(役員や従業員)自らが運用を行う制度です。経営者にとって、以下のような大きなメリットがあります。
- 掛金が全額損金算入できる:会社が負担する掛金は全額が損金(経費)として扱われます。法人税の負担を抑えながら、計画的に退職金の原資を作ることができます。
- 運用益が非課税:運用によって得られた利益には税金(通常約20%)がかからず、そのまま再投資されるため、複利効果で効率的にお金を増やせます。
- 受取時に退職所得控除が使える:将来、一時金として受け取る際には、先ほど解説した退職所得控除の対象となります。
功績倍率にとらわれない!将来の「選択肢」を増やす強力ツール
さらに、企業型DCには「将来の出口戦略の選択肢を増やす」という経営上の大きなメリットがあります。
通常、会社の内部留保から役員退職金を支給する場合、税務上損金として認められる金額には「最終報酬月額 × 役員在任年数 × 功績倍率」といった計算上の上限があります。しかし、企業型DCは毎月経費として処理していくため、この「功績倍率」の枠組みとは関係なく、確実に退職金原資を形成できます。
これにより、引退時に以下のような柔軟な選択が可能になります。
- 業績が絶好調な場合:「内部留保からの退職金(損金算入で節税)」+「企業型DC」のダブルで手厚く受け取る。
- 内部留保を残したい場合:内部留保からの支払いは見送り、「企業型DC」のみで確実な老後資金を受け取る。
このように、企業型DCを今のうちから掛けておくことは、将来の会社の状況に合わせた柔軟な選択肢を持っておくことにつながるのです。
▼ こちらもチェック
知らないと損する? あなたの給与でいくら節税できるかシミュレーション従業員の福利厚生・定着率向上にも直結する
企業型DCの魅力は、社長個人のメリットだけにとどまりません。
「老後2,000万円問題」などが話題になる中、従業員も将来のお金に対して漠然とした不安を抱えています。企業型DCを導入することは、「会社が社員の老後の資産形成をサポートする」という強いメッセージになります。
充実した退職金制度があることは、採用活動における強力なアピールポイントになり、今いる優秀な社員の定着率(リテンション)向上にも大きく貢献するはずです。
導入前に知っておくべき「2つの留意点」
非常にメリットの大きい企業型DCですが、導入を検討する上で客観的に知っておくべき留意点もあります。
1. 原則60歳まで引き出しができない
企業型DCは、あくまで「老後資金の形成」を目的とした国の制度です。
そのため、原則として60歳になるまで積み立てた資産を引き出すことはできません。会社の資金繰りとは切り離し、将来に向けた長期的な資産形成と割り切って活用する必要があります。
2. 制度を形骸化させない「投資教育」が不可欠
企業型DCは、加入者本人が運用商品を選びます。つまり、運用結果は自己責任となります。
せっかく制度を導入しても、社員が投資の基礎知識を持たず、元本確保型商品ばかりを選んでインフレ負けしてしまっては意味がありません。逆に、リスクを取りすぎて大きく元本割れを起こしてしまう可能性もあります。
⚠️ 留意点
企業型DCは「導入して終わり」ではありません。
社員一人ひとりが制度を正しく理解し、自分のライフプランに合わせて運用できるよう、継続的な「投資教育」を行うことが法律でも努力義務とされています。
▼ あわせて読みたい
社員向け投資教育では何を教える?具体的なカリキュラム例を解説企業型DCの導入を成功させる「伴走型」のパートナー選び
導入後の「継続的なアフターフォロー」が鍵を握る
導入の手続きだけを代行してくれる業者は多く存在します。しかし、本当に大切なのは「制度を形骸化させず、社長と社員の資産形成を長期的にサポートできるか」です。
私たち専門機関は、中小企業の皆様の伴走者として、単なる制度導入だけでなく、従業員様向けの継続的な投資教育や、個別のライフプラン相談など、手厚いアフターフォローに強みを持っています。
自社にとって最適な制度設計や、具体的な節税額のシミュレーションにご興味がございましたら、ぜひ一度お気軽にご相談ください。社長のお悩みに寄り添い、最適なプランをご提案いたします。
よくある質問(FAQ)
従業員数が10名程度でも企業型DCは導入できますか?
はい、可能です。近年では従業員数名〜数十名規模の中小企業様でも導入しやすいプランが整備されており、導入企業は年々増加しています。
役員だけでも企業型DCに加入することは可能ですか?
役員様のみの会社(役員全員が社会保険被保険者)であれば導入可能です。
しかし、社会保険(厚生年金)に加入している従業員様がいる場合、役員様のみを加入対象とすることは原則として認められていません。
ただし、「選択制DC」という仕組みを活用すれば、従業員様には「加入するかしないか」の選択権を与えつつ、実質的に役員様を中心に手厚い資産形成を行うといった柔軟な設計も可能です。貴社の状況に合わせた最適なプラン設計については、複雑な点も多いため、ぜひ一度専門家へご相談ください。
導入にはどのくらいの期間がかかりますか?
制度設計の検討から、就業規則や退職金規程の改定、管轄省庁への申請、従業員説明会の実施などを含め、一般的に導入完了まで約6〜8ヶ月程度の期間を要します。
まとめ
役員退職金を会社の内部留保から無計画に支払うと、税制面で不利益を被る可能性があります。企業型DCを活用し、会社の経費として積み立てることで、将来の業績に左右されない選択肢を持ちながら、効果的な節税と効率的な資産形成を同時に実現できます。
また、この取り組みは社長ご自身の退職金準備だけでなく、社員の定着率向上や福利厚生の充実にも直結します。手厚い投資教育とアフターフォローを提供する専門家とともに、会社と社員の明るい未来に向けた第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
\ ご自身の効率的な老後資金の準備に! /
実際の給与で計算してみる(節税額・将来の退職金シミュレーターへ)