無駄なく効率的に老後資金をつくる!会社員・フリーランス・経営者別の「資産形成」優先順位

「老後のために資産形成を始めなければ」――。そう考えて、とりあえずNISAやiDeCo(個人型確定拠出年金)の口座を開設し、少額から積立投資を始めた方は多いのではないでしょうか。確かに、これらの制度は税制優遇があり、個人が資産を築く上で非常に強力なツールです。各種メディアでも連日のように取り上げられており、投資への関心が高まっていること自体は素晴らしいことです。

しかし、NISAやiDeCoから始めることが、すべての人にとって「正解」とは限りません。実は、資産形成には、その人の働き方や収入の状況、つまり「属性」によって、最も税制メリットが大きく、効率的にお金を残せる「正しい順番(優先順位)」が存在します。

もし、ご自身の属性に合わない順番で資産形成を進めていると、本来得られるはずだった大きな税制メリットを取りこぼし、将来手元に残る金額が数百万円単位で変わってしまう可能性すらあります。本記事では、会社員、フリーランス(個人事業主)、経営者(役員)という3つの属性別に、無駄なく効率的に老後資金をつくるための「資産形成の優先順位」を徹底解説します。

「隣の人がやっているから」ではなく、あなた自身の立場において最適化された、一生モノの資産形成戦略を身につけましょう。まずは、この記事の結論となる「属性別資産形成の優先順位早見表」をご覧ください。

属性第1位(最優先)第2位第3位
会社員企業型DC・選択制DCiDeCoNISA
フリーランス
(個人事業主)
小規模企業共済 & iDeCo国民年金基金NISA
経営者・役員法人の制度
(企業型DCなど)
小規模企業共済NISA

いかがでしょうか。ご自身の属性の1位に挙げられている制度、すでにご存知でしたか?なぜこの順番になるのか、これから詳しく解説していきますが、その前にどの属性にも共通する「大前提」を確認しておきましょう。

全属性共通の大前提:投資の前に確認すべき「土台」

資産形成をピラミッドに例えると、投資はその上部に位置します。しっかりとした土台がなければ、せっかく積み上げた資産も、不測の事態で崩れてしまうかもしれません。

資産形成のピラミッド図

生活防衛資金の確保

最優先すべきは、万が一の病気、ケガ、失業、あるいは収入減少に備える「生活防衛資金」の確保です。これは投資に回さず、すぐに引き出せる普通預金などで保有します。目安としては、会社員であれば生活費の3〜6ヶ月分、収入の変動が大きいフリーランスや経営者であれば6ヶ月〜1年分程度は確保しておきたいところです。

目的の明確化

今回は、長期的な将来のための資産形成、特に「老後資金」にフォーカスしています。NISAは老後資金だけでなく、教育資金や住宅購入資金など中長期のライフイベントにも柔軟に対応できますが、iDeCoや企業型DCなどの確定拠出年金、小規模企業共済は、原則として60歳(小規模企業共済は廃業・退職等)まで引き出しが制限される「老後専用資金」です。この資金の性質の違いを理解しておくことが重要です。

【会社員向け】資産形成の優先順位

会社員の方は、勤務先の制度と国が用意した個人の制度を組み合わせることで、最も手堅く、かつ効率的に資産を築くことができます。

第1位:勤め先の制度をフル活用する(企業型DC・選択制DCなど)

会社員にとって、最も優先順位が高いのは、勤務先が導入している「企業型確定拠出年金(企業型DC)」です。特に、給与の一部を自分で運用するか、給与として受け取るかを選べる「選択制DC」が導入されている場合、そのメリットは計り知れません。

企業型DCの最大のメリットは、掛金が全額「非課税」となる点です。NISAでは「投資で得られた利益」が非課税になりますが、企業型DCでは「掛金を出す段階」で所得税・住民税の対象外となります。

さらに、選択制DCの非常に大きなメリットとして「社会保険料の削減」が挙げられます。選択制DCで掛金として拠出した金額は、社会保険料の算定基礎となる「標準報酬月額」から除外されます。

つまり、掛金を拠出することで所得税・住民税が安くなるだけでなく、毎月給与から天引きされている厚生年金保険料や健康保険料の負担軽減にも直結するのです。手取り収入への影響を抑えながら、最も効率よく老後資金を積み立てることができるため、自社に制度がある場合は設定されている枠を使い切ることが最優先です。

第2位:iDeCo(個人型確定拠出年金)

勤務先に企業型DCがない場合、あるいは企業型DCと併用できる場合、次に検討すべきは「iDeCo」です。

iDeCoの掛金も全額が「所得控除」の対象となり、年末調整や確定申告を行うことで、その年の所得税・住民税を節税しながら自分自身の老後資金を作れます。

iDeCoが持つ3つの大きな税制メリット

  • 掛金拠出時の節税(全額所得控除)
  • 運用中の利益が非課税
  • 将来受け取る際の退職所得控除(または公的年金等控除)

第3位:NISA(新NISA)

企業型DCやiDeCoで老後専用の資金をしっかりと積み立てた上で、さらに余裕資金がある場合、あるいは住宅購入や教育資金など中長期の柔軟な資金準備を行いたい場合に「NISA」を活用します。NISAは掛金拠出時の所得控除はありませんが、必要な時にいつでも非課税で引き出せる流動性の高さが魅力です。

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【フリーランス・個人事業主向け】資産形成の優先順位

フリーランスや個人事業主の方は、会社員のような厚生年金や企業年金がないため、公的年金(国民年金)だけでは老後資金が不足しがちです。そのため、国が用意した強力な税制優遇制度を自ら進んで活用していく必要があります。

第1位:小規模企業共済 & iDeCo

フリーランスにとって、最強の資産形成ツールと言えるのが「小規模企業共済」と「iDeCo」の併用です。

小規模企業共済は、経営者や個人事業主のための退職金制度です。最大の特徴は、月々1,000円から7万円までの掛金が「全額所得控除」になることです。iDeCoも同様に掛金が全額所得控除(フリーランスの場合は月額最大6.8万円)となるため、この2つを最大限活用すれば、年間で最大165.6万円もの所得控除を受けられ、劇的な節税効果を得ながら将来の資金を作ることができます。事業の売上に応じて掛金を柔軟に変更できるのも大きなメリットです。

第2位:国民年金基金

iDeCoや小規模企業共済を活用した上で、さらに一生涯受け取れる「終身年金」をベースとして手厚くしたい場合に検討するのが「国民年金基金」です。こちらも掛金は全額所得控除となりますが、iDeCoと合算して月額6.8万円が上限となる点、また運用を自分で行うのではなく予定利率に基づいた給付となる点に留意して選択しましょう。

第3位:NISA(新NISA)

フリーランスの場合、事業の運転資金が急に必要になるリスクも常にあります。そのため、資金が拘束される確定拠出年金や共済だけでなく、いざという時にペナルティなしで引き出しやすいNISA口座で、柔軟性の高い資産(株式や投資信託など)を保有しておくことも事業を継続する上で大切な戦略となります。

【経営者・役員向け】資産形成の優先順位

経営者や役員の方は、「法人」という器を最大限に活用することで、個人の税負担を適正に抑えつつ、効率的にご自身の老後資金(役員退職金)を準備することが可能です。

第1位:法人の制度を活用した退職金準備(企業型DCなど)

経営者にとって最も優先順位が高く、かつ効率的なのは、役員報酬を個人の現金としてそのまま全額受け取るのではなく、法人の制度として「企業型DC」などを導入し、役員報酬の一部を法人の経費として拠出することです。

役員報酬として受け取ると、金額に応じて高い税率の所得税・住民税、そして社会保険料が差し引かれ、手残りが大きく目減りしてしまいます。しかし、企業型DCの掛金として法人から拠出すれば、その掛金は個人の所得とみなされないため、所得税等はかかりません。さらに、会社側にとっても全額が損金(経費)として計上できるため、法人税等の負担軽減にもつながります。

もちろん、企業型DCなどの制度導入には初期費用や毎月のランニングコストが発生し、従業員への説明や事務負担も生じるため、法人の経営状況を総合的に判断する必要はあります。しかし、そうしたコストを差し引いたとしても、経営者ご自身の効率的な老後資金の準備としては極めて合理的な手段と言えます。

第2位:小規模企業共済

法人経営者(常時使用する従業員が20人以下等の条件あり)であっても、小規模企業共済に加入できる場合があります。経営者個人の役員報酬等の所得から掛金を支払い、全額所得控除を受けることができるため、個人の節税と退職金準備の手段として非常に優秀です。加入資格を満たしている場合は、企業型DCと併せて優先的に活用したい制度です。

第3位:NISA(新NISA)

法人での退職金準備と、個人での所得控除枠(小規模企業共済など)をしっかりと使い切った上で、さらに個人の手残り資金(手取りの役員報酬)を効率よく運用する手段としてNISAを活用します。経営者の方は、まず法人・個人の税制優遇を極限まで活用し、その後に非課税の運用益を狙うNISAへとステップアップするのが王道です。

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まとめ・次のステップ

本記事では、属性別に無駄なく効率的に老後資金をつくるための「資産形成の優先順位」を解説しました。

資産形成において最も重要なのは、「とりあえず人気の制度から始める」のではなく、「自分自身の今の立場(属性)」において、どの制度を活用すれば最も税金や社会保険料の負担を抑え、手元に資金を残しやすいのかを正しく見極めることです。

ご自身の属性に合った1位、2位の制度をまだ活用できていないのであれば、まずはそこから着手することが、最も確実でリターンの高い資産形成の第一歩となります。

「自分の場合、具体的に企業型DCやiDeCoを活用すると、年間でどれくらい税金が安くなって、将来いくらの老後資金が貯まるのか?」

そう思われた方は、感覚で判断するのではなく、ぜひ一度具体的な数字でシミュレーションを行ってみてください。自分自身のリアルな節税額や将来の資産額を知ることで、行動へのモチベーションは劇的に変わります。

将来の備えは、複利の効果や税制メリットを長く享受するためにも、一日でも早く始めることが最大の強みになります。この記事が、あなたにとって最も効率的な資産形成をスタートするきっかけとなれば幸いです。