【経営者必見】退職金準備で「法人保険」と「企業型DC」どっちが得?徹底比較とプロの選び方

📋 この記事でわかること
- 2019年・2021年の税制改正による法人保険ルールの変化
- 現代の法人保険で「できること・できないこと」の正確な理解
- 法人保険と企業型DCの「6つの観点」での徹底比較
- 節税効率シミュレーションと自社に合った制度の選び方
「経営者の退職金準備といえば法人保険」——一昔前なら、それが当たり前でした。しかし、2019年と2021年の税制改正により、法人保険の節税効果は大きく制限されています。
それにもかかわらず、生保営業から「法人保険で節税しながら退職金準備を」と勧められている経営者は依然として少なくありません。
本記事では、現代の法人保険でできること・できないことを正確に整理したうえで、企業型確定拠出年金(企業型DC)との徹底比較を行います。「節税効果」「損金算入」「流動性」「出口課税」など、6つの観点で公平に比較し、貴社にとって本当に最適な選択肢を見極めるための判断軸をご提供します。
目次
1. 「法人保険で経営者の退職金」は今も通用するのか
💡 ポイント:かつて主流だった法人保険の節税スキームは、税制改正により大きく変わりました。
かつての法人保険は確かに有効だった
数年前まで、法人保険は中小企業オーナーの退職金準備としてもっとも一般的な手法でした。
仕組みはシンプルです。
- 保険料を全額損金算入して法人税を圧縮
- 数年後に解約返戻金を受け取り、退職金原資にする
- 受け取った解約返戻金は、退職金として支払うことで損金算入される
- 結果として「節税しながら退職金準備ができる」最強の仕組みとされていた
特に「全損保険」と呼ばれる全額損金算入できる保険商品は、5年程度で解約返戻率がピークを迎える設計のため、5年程度で解約と加入を繰り返すスキームが定着していました。
しかし、状況は2019年から大きく変わった
2019年2月13日、国税庁は法人保険の課税方法見直しを各保険会社に伝達し、全保険会社の定期保険系商品が販売停止となりました。これは業界で「バレンタインショック」と呼ばれています。
その後、2019年6月28日に法人税基本通達が改正され、2019年7月8日以降の新規契約から、新しいルールが適用されることになりました。
さらに2021年6月の改正では、法人契約の保険を個人へ名義変更する際の評価額計算ルールも厳格化され、いわゆる「名義変更プラン」も封じられました。
「節税保険」という言葉が公然と使えなくなった時代へ
これらの改正により、国税庁は節税スキームに本格的にメスを入れました。多くの保険会社が節税訴求を控えるようになり、「節税保険」という言葉は実質的に死語に近い状態になっています。
しかし、現場ではいまだに「法人保険で節税」と勧めてくる生保営業が存在します。経営者としては、2026年現在の正確なルールを理解しておかなければ、誤った判断をしてしまう可能性があります。
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実際の給与でいくら節税できる?将来の退職金をシミュレーションで見てみる2. 【正確に理解する】2019年以降、法人保険のルールはこう変わった
💡 ポイント:解約返戻率に応じて損金算入率が制限され、「全額損金」の時代は終わりました。
法人保険の最新ルールを正確に整理します。これを理解せずに法人保険を判断するのは危険です。
損金算入ルールの全面見直し
2019年7月8日以降の新規契約に適用される新ルールでは、最高解約返戻率に応じた損金算入率の段階的設定が導入されました。
新しい損金算入ルール(早見表)
| 最高解約返戻率 | 当初の損金算入率 | 資産計上ルール |
|---|---|---|
| 50%以下 | 100%(全額損金) | なし |
| 50%超〜70%以下 | 60%損金 | 40%資産計上 |
| 70%超〜85%以下 | 40%損金 | 60%資産計上 |
| 85%超 | 複雑な計算式(後述) | 当期保険料×最高解約返戻率×90%(10年以内)または70%(10年経過後)を資産計上 |
つまり、「節税効果が大きい高返戻率の保険ほど、当初の損金算入率が低くなる」という構造です。
例えば最高解約返戻率85%超の保険に加入した場合、計算は次のようになります(保険期間の開始から10年以内)。
- 資産計上額:当期分支払保険料 × 最高解約返戻率 × 90%
- 損金算入額:当期分支払保険料 - 資産計上額
具体例として、最高解約返戻率90%・年間保険料100万円の保険の場合:
- 資産計上額:100万円 × 90% × 90% = 81万円
- 損金算入額:100万円 - 81万円 = 19万円
つまり、実質的な損金算入率はわずか19%。「全額損金」という時代は完全に終わったのです。
なお、最高解約返戻率が70%以下の保険で、被保険者1人あたり年間保険料が30万円以下の場合は、例外的に全額損金算入が認められています。
出口課税(解約返戻金受取時)は変わらず
ここがもう一つ重要なポイントです。解約返戻金を受け取ると、「解約返戻金 − 資産計上額(前払保険料の累計)」の差額が雑収入として益金算入されます。つまり、入口で資産計上していた分は取り崩されますが、それを超えて受け取った金額(≒これまでに損金算入してきた累計額と概ね同等)が課税対象になる構造です。
つまり、「入口で節税した金額が、出口で同等の金額で取り戻される」仕組みであり、退職金として支払う場合のみ、退職金支払い額が損金算入されて益金と相殺できます。節税が「無くなる」のではなく「先送り」されるだけ、というのが正確な理解です。
名義変更プランも2021年改正で規制
2021年6月の改正により、法人から個人への名義変更時の評価額ルールも厳格化されました。
- 名義変更時の解約返戻金が資産計上額の70%未満である場合:資産計上額により評価
- 復旧できる払済保険を名義変更した場合:資産計上額+払済変更時の損金算入額で評価
つまり、「個人で受け取って所得税を軽くする」スキームも事実上封じられています。
3. 現代の法人保険でできること・できないこと
💡 ポイント:法人保険は「節税」の道具から、本来の「保障」の役割へと回帰しています。
事実を整理し、誤解を解きます。
❌ かつてできて、今はできなくなったこと
- 高返戻率の保険で全額損金算入して大胆に節税
- 5年で解約→退職金で受け取りという短期回転スキーム
- 名義変更で個人に移転して所得税を軽くする手法
- 「節税目的」を前面に出した法人保険の販売
⭕ 今でも法人保険ができること
- 経営者の死亡・重大疾病時の事業保障
- 50%以下の返戻率なら全額損金算入(ただし返戻率は低い)
- 一定の退職金原資の積立(ただし節税効果は限定的)
- 被保険者1人年30万円以下なら70%以下返戻率で全額損金(小規模企業向け)
法人保険の本来の役割は「保障」
冷静に整理すると、現代の法人保険における正しい位置付けは「節税商品ではなく保障商品」です。
経営者の死亡・重大疾病といったリスクが顕在化した時、会社の事業継続を支える役割が法人保険の本質です。「節税」を主目的にする時代は終わりました。退職金準備を目的とするなら、他の選択肢と必ず比較する必要があります。
4. 【6つの観点で徹底比較】法人保険 vs 企業型DC
💡 ポイント:節税効果や柔軟性など、6つの重要なポイントで両制度を客観的に比較します。
ここからが本記事の核心です。法人保険と企業型DCを、6つの観点で公平に比較します。
1 比較①:拠出時の損金算入
| 制度 | 拠出時の損金算入 |
|---|---|
| 法人保険 | 最高解約返戻率により変動(実質40〜60%が一般的) |
| 企業型DC | 全額損金算入(法人税法施行令135条第3号) |
結論:拠出時の損金算入で比較すると、企業型DCが明確に有利です。法人保険は最高解約返戻率の高い節税性を期待する商品ほど損金算入率が低くなる構造で、効率的な節税にはなりません。
2 比較②:個人の所得税・住民税
| 制度 | 個人の所得税・住民税 |
|---|---|
| 法人保険 | 影響なし(会社契約のため) |
| 企業型DC | 軽減される(仕組みは制度により異なる) |
企業型DCの所得税軽減の仕組みは制度によって異なります。
- 事業主掛金・選択制DC:会社の拠出として扱われるため、そもそも給与所得に算入されない(給与不算入)
- マッチング拠出・iDeCo:個人が拠出した分が小規模企業共済等掛金控除として所得控除の対象
結論:個人の所得税負担にまで効くのは企業型DCだけです。経営者個人の所得税負担が重い場合、この差は決定的です。
3 比較③:社会保険料への影響
| 制度 | 社会保険料への影響 |
|---|---|
| 法人保険 | 影響なし |
| 企業型DC(選択制) | 標準報酬月額が下がり、社会保険料が削減 |
結論:選択制DCを活用すれば、本人負担分・会社負担分の両方で社会保険料が軽減されます。
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| 制度 | 出口時の課税 |
|---|---|
| 法人保険 | 解約返戻金と資産計上額の差額が益金算入(退職金で相殺すれば実質非課税) |
| 企業型DC | 受給時に退職所得控除or公的年金等控除を活用可能 |
結論:両者とも出口での税優遇は活用可能ですが、企業型DCの方が選択肢が広い(一時金・年金・併用)のがメリットです。
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企業型DCの受け取り方|一時金・年金・併用どれが社長にとって一番得か5 比較⑤:運用の柔軟性
| 制度 | 運用の柔軟性 |
|---|---|
| 法人保険 | 保険会社の運用に依存(一定の利回り保証あり) |
| 企業型DC | 加入者が自分で運用商品を選択(投資信託・元本確保型など) |
結論:運用方針による好みの問題です。「運用は任せたい」なら法人保険、「自分で選びたい」なら企業型DCが向いています。
6 比較⑥:保障機能と流動性
| 観点 | 法人保険 | 企業型DC |
|---|---|---|
| 死亡保障 | あり | なし |
| 重大疾病保障 | あり | なし |
| 中途解約 | 可能(返戻率に応じて) | 不可(60歳まで) |
結論:保障機能と中途解約の柔軟性は法人保険の大きな強みです。経営者の万一に備える事業保障としては法人保険が向いています。
比較表で一覧
これまでの比較を一覧表にまとめます。
| 観点 | 法人保険 | 企業型DC |
|---|---|---|
| 拠出時の損金算入 | 40〜60%程度 | 100%(全額) |
| 個人の所得税・住民税 | 影響なし | 軽減される(給与不算入または所得控除) |
| 社会保険料削減 | なし | あり(選択制DC) |
| 出口時の課税 | 差額が益金算入(退職金で相殺可) | 退職所得控除等で軽減 |
| 運用の柔軟性 | 保険会社主導 | 加入者主導 |
| 保障機能 | あり | なし |
| 中途解約 | 可能 | 60歳まで不可 |
| 拠出額の上限 | 実質なし | 月6.2万円(2027年〜) |
5. 【シミュレーション】それぞれの実用的な拠出額で比較
5. 【シミュレーション】それぞれの実用的な拠出額で比較
💡 ポイント:実際の数字で比べると、企業型DCの圧倒的な「節税効率」がわかります。
「具体的にどれくらい節税効果が違うのか」を、現実的な拠出額でシミュレーションします。
前提条件
- 対象:年収700万円・標準報酬月額59万円の中小企業オーナー
- 法人保険:月10万円拠出(年120万円)※実務上一般的な金額
- 企業型DC(選択制):月6.2万円拠出(年74.4万円)※2027年1月以降の上限
- 法人税実効税率:約30%
- 所得税率:20%・住民税率:10%
- 社会保険料率(労使合計):約31.5%(健保・介護・厚年・雇用保険)
※年収1,500万円のような高所得層では、厚生年金の標準報酬月額が上限65万円を振り切るため社保削減効果が限定的になります。本シミュレーションは社保削減効果が最大化される中間層(年収500〜800万円)を対象とした標準的なケースです。
法人保険(最高解約返戻率85%・損金算入率40%の場合)の節税効果
- 年間拠出:120万円
- 損金算入:120万円 × 40% = 48万円
- 法人税節税効果:48万円 × 30% = 約14万円/年
- 個人の所得税・住民税:影響なし
- 社会保険料削減:なし
法人保険による年間節税効果:約14万円
企業型DC(選択制)の節税効果
- 年間拠出:74.4万円
- 法人税節税:74.4万円 × 30% = 約22万円/年
- 個人の所得税・住民税軽減:74.4万円 × 30%(20%+10%) = 約22万円/年
- 社保削減(本人+会社):74.4万円 × 31.5% = 約23万円/年
企業型DCによる年間節税・社保削減効果:合計約67万円
「1万円あたりの節税効率」で比較
ここがもっとも重要なポイントです。拠出額が違うため、「拠出1万円あたりの節税効果」で比較してみましょう。
| 制度 | 年間拠出 | 年間節税効果 | 1万円あたり節税効率 |
|---|---|---|---|
| 法人保険 | 120万円 | 約14万円 | 約1,167円 |
| 企業型DC | 74.4万円 | 約67万円 | 約9,005円 |
企業型DCの節税効率は、法人保険の約7.7倍という計算になります。
つまり、同じ1万円を拠出するなら、企業型DCの方が圧倒的に節税効率が高いのです。
10年間の累計効果
10年間継続した場合の累計効果も比較してみます。
| 制度 | 10年累計拠出 | 10年累計の節税・社保削減効果 |
|---|---|---|
| 法人保険 | 1,200万円 | 約140万円 |
| 企業型DC | 744万円 | 約670万円 |
拠出額は法人保険の方が456万円多いにもかかわらず、企業型DCの方が530万円も多くの節税効果を生み出しています。
高所得層(年収1,500万円超)の場合の留意点
- 厚生年金の標準報酬月額の上限は月65万円(2027年9月までは65万円、その後段階的に75万円まで引き上げ予定)
- 高所得層は厚生年金部分がすでに上限を振り切っているため、選択制DCで掛金を振り替えても厚生年金保険料は削減されない
- 健康保険・介護保険のみ削減効果あり(健康保険の上限は月139万円)
- 結果として、選択制DCの社保削減効果は年収500〜800万円層で最大化し、それ以上の高所得層では限定的になる
- ただし、高所得層は所得税率が高いため、所得税軽減効果は大きい
結論:純粋な節税目的なら、企業型DCが圧倒的に有利
このシミュレーションから明らかなように、節税目的・退職金準備目的の場合、企業型DCの方が圧倒的に効率的です。
ただし、これは「節税効率」だけで見た場合の話です。法人保険には保障機能という重要な役割があり、これは企業型DCにはない強みです。次章で「使い分け」の判断軸を整理します。
6. 【ケース別】あなたの会社はどっちが向いている?
💡 ポイント:多くの中小企業にとって、「両方の制度を目的別に使い分ける」のがベストな選択です。
シミュレーション結果を踏まえ、どのような会社にどちらが向いているかを整理します。
法人保険が向いているケース
- 経営者の死亡時の事業承継リスクが大きい会社
- 借入金が多く、経営者の生命保障が必要
- すでにDC・小規模企業共済等の節税枠を使い切っている
- 中途解約の柔軟性を確保しておきたい
- 業績が大きく変動する業種で、流動性確保が重要
法人保険は「事業保障」と「柔軟性」という観点で価値があります。
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内部留保で作る経営者の退職金はもったいない!より効率的な制度とは企業型DCが向いているケース
- 節税効果を最大化したい会社
- 経営者の所得税・社会保険料負担が重い
- 社員にも退職金準備を提供したい
- 採用力強化・福利厚生の充実を狙いたい
- 計画的・継続的な資産形成を重視する
企業型DCは「節税効率」と「長期資産形成」という観点で圧倒的な強みを持ちます。
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役員報酬の手取りを最大化する!経営者のための「選択制DC」活用術と節税効果両方を組み合わせるケース(多くの中小企業オーナーにとってベスト)
実は、多くの中小企業オーナーにとって最適なのは「両方の使い分け」です。
| 制度 | 役割 |
|---|---|
| 企業型DC | 経営者・社員の退職金準備+節税 |
| 法人保険 | 経営者の死亡時・重大疾病時の事業保障 |
このように役割を分けることで、両者の強みを活かしながら、それぞれの弱みを補完できます。
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知らないと損する? あなたの給与でいくら節税できるかシミュレーション7. 「法人保険で節税」を勧められたら確認すべき5つの質問
💡 ポイント:提案を受けた際は、必ず「実質的な損金算入率」と「他の選択肢との比較」を求めましょう。
生保営業から法人保険を勧められた際の実践的なチェックリストです。
1 質問①:「最高解約返戻率は何%ですか?」
最高解約返戻率により損金算入率が大きく変わります。50%以下なら全額損金ですが、その分節税効果も限定的です。実際の損金算入率を必ず確認してください。
2 質問②:「実質的な損金算入率は何%ですか?」
「全額損金」という言葉に騙されないことが重要です。「実質的に経費にできるのは保険料の何%か」を必ず確認しましょう。
3 質問③:「出口(解約時)の課税はどうなりますか?」
入口の節税だけでなく、出口で発生する益金課税も確認が必要です。「節税」ではなく「課税の繰延べ」という側面を理解しておきましょう。
4 質問④:「企業型DCと比較した場合のメリット・デメリットは?」
他の選択肢との比較を求めることで、提案の偏りを判断できます。「他の選択肢を提示できない営業」は要注意です。
5 質問⑤:「これは節税ですか、それとも保障ですか?」
目的の明確化を求める質問です。「節税」を強調する営業は、現在の税制では適切な提案をしていない可能性が高いです。
鉄則:すぐ判断せず、税理士・DC専門家にも相談する
法人保険は長期にわたる契約であり、一度加入すると見直しに大きなコストがかかります。生保営業からの提案は、必ず複数の専門家の意見を聞いてから判断してください。
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- 専任の担当者が法改正・税制変更にも迅速に対応
- 初回相談・シミュレーションは無料
「まずは自社に企業型DCが向いているか確認したい」という方も、お気軽にご相談ください。
貴社の状況をヒアリングのうえ、最適なプランをご提案します。
よくある質問(FAQ)
すでに加入している法人保険はどうすべき?
2019年7月8日以前の契約は、原則として改正前のルールが適用されます。慌てて解約する必要はありませんが、定期的に解約返戻率の推移を確認し、最適な解約タイミングを見極めることが重要です。解約タイミングは退職金の支払い時期と合わせるのが基本です。
法人保険から企業型DCへの乗り換えは可能?
法人保険を解約して、その資金で企業型DCを始めることは可能です。ただし、解約のタイミング(解約返戻率のピーク)と税務上の処理(解約返戻金の益金算入)を慎重に検討する必要があります。税理士との相談が必須です。
一度法人保険を解約したら税金が大変なことになる?
解約返戻金は全額益金算入されるため、そのままでは法人税が課税されます。しかし、解約と同時期に役員退職金を支給することで、退職金支払い額が損金算入され、解約返戻金の益金と相殺可能です。「解約と退職金支給の同時期実行」が一般的な手法です。
法人保険は完全に不要なのか?
完全に不要というわけではありません。経営者の死亡・重大疾病時の事業保障として、法人保険には今でも明確な価値があります。「節税目的」での加入は時代に合いませんが、「保障目的」での加入は依然として有効です。
生保営業は今でも法人保険を勧めるのはなぜ?
法人保険は生保会社にとって高単価の収益源です。1件あたりの保険料が大きいため、営業インセンティブも高く設定されています。営業側の事情と、顧客にとっての最適性は必ずしも一致しないことを理解しておきましょう。
顧問税理士は法人保険を勧めてくるが、どう判断すべき?
一部の税理士は保険代理店としての収益も得ているため、法人保険の提案に積極的な場合があります。「企業型DCとの比較ではどう判断しますか?」と質問することで、提案の客観性を確認できます。利益相反の可能性がある場合は、セカンドオピニオンを取ることをおすすめします。
まとめ
- 2019年・2021年の税制改正で、法人保険の節税効果は大きく制限された
- 純粋な「節税×退職金準備」目的なら、企業型DCが圧倒的に有利(節税効率で約8.7倍)
- 法人保険は「保障機能」「中途解約の柔軟性」が必要な場合に選ぶべき
- 両者を組み合わせることで、最適なリスク管理が可能(多くの中小企業オーナーにとってベスト)
- 生保営業からの提案は、必ず複数の選択肢と比較してから判断を
- 経営者の退職金準備は、長期的な視点と複数の専門家の知見を活かして設計すべき
「自社の場合、法人保険と企業型DCをどう使い分けるべきか」「既存の法人保険を見直すべきか」「最適な退職金準備の戦略を相談したい」——こうした個別のお悩みは、企業型DCの導入支援実績が豊富な弊社にぜひご相談ください。
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参考・出典
本記事は以下の公式情報・公的資料を参照して作成しています。最新情報は必ず公式サイトでご確認ください。
- 国税庁「No.5364 定期保険及び第三分野保険の保険料(保険料に相当多額の前払部分の保険料が含まれない場合)の取扱い」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5364.htm - 国税庁「No.5364-2 定期保険及び第三分野保険の保険料(保険料に相当多額の前払部分の保険料が含まれる場合)の取扱い」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5364-2.htm - 国税庁「定期保険等の保険料に係る取扱いの改正等のあらまし」(2019年6月28日通達)
- 国税庁「所得税基本通達36-37(保険契約等に関する権利の評価)」(2021年6月25日改正)
- 法人税法基本通達 9-3-5、9-3-5の2(保険料の取扱い)
- 法人税法施行令135条(確定拠出年金の事業主掛金の損金算入)
- 厚生労働省「確定拠出年金制度」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/nenkin/nenkin/kyoshutsu/index.html
※本記事は2026年5月時点の情報に基づいて作成しています。法改正や具体的な運用ルールは今後変更される可能性がありますので、最新情報は国税庁・厚生労働省などの公式サイトもご確認ください。また、個別の制度設計や税務判断は、専門家へのご相談をおすすめします。
【免責事項】
本記事は、企業型確定拠出年金(企業型DC)に関する一般的な情報提供を目的として作成されています。記載内容は執筆時点の法令・税制に基づくものであり、今後の法改正・制度変更により内容が変わる場合があります。本記事は特定の投資行動・税務処理・法的手続きを推奨するものではなく、個別の状況に応じた専門的アドバイスの提供を目的とするものではありません。実際の導入・運用にあたっては、税理士・社会保険労務士・ファイナンシャルプランナー等の専門家へのご相談を強くお勧めします。本記事の情報を利用したことにより生じたいかなる損害・不利益についても、株式会社FGパートナーズは一切の責任を負いません。