中退共に入っていても企業型DCは導入できる?併用・資産移換・掛金見直しを徹底解説

「うちはすでに中退共に加入しているが、企業型DC(企業型確定拠出年金)も導入できるのか」。最近、こうしたご相談が増えています。

結論からお伝えすると、中退共と企業型DCは併用できます。中退共を解約する必要はなく、同じ従業員が両方の制度に同時に加入することも可能です。

背景にあるのが、中退共の運用環境です。中退共は掛金月額と納付月数を基礎に給付が決まる仕組みで、現在の予定運用利回りは1.0%。加入者が運用で大きく増やす制度ではありません。そのため、従業員自身が運用して増やす余地のある企業型DCを、退職金制度の見直しとあわせて検討する会社も出てきています。

ただし、併用や切り替えにはいくつか押さえておくべき論点があります。拠出限度額への影響、役員の扱い、中退共から企業型DCへ資産を移せる条件、そして「中退共を減額して、その分を企業型DCに回す」という実務的な見直し方まで、中小企業オーナーの視点で整理します。

📋 この記事でわかること

  • 中退共と企業型DCは併用できること(解約は不要)
  • 併用しても企業型DCの拠出上限が減らない理由
  • 中退共から企業型DCへ「資産移換(切り替え)」できる限られた条件
  • 中退共を減額し、その分を企業型DCに回す見直し方と注意点
  • 退職金制度を見直すときの4つの選択肢と判断軸

1. 結論|中退共に入っていても企業型DCは導入できる

まず結論です。中退共に加入したまま、企業型DCを新たに導入することは可能です。 中退共を解約したり、脱退したりする必要はありません。

さらに、同じ従業員を中退共と企業型DCの両方に同時に加入させることもできます。「中退共は従業員A、企業型DCは従業員B」と分ける必要はなく、一人の従業員について両制度を重ねられます。

なぜ併用できるのか。理由はシンプルで、中退共と企業型DCは制度の"種類"が違うからです。次章で両者の違いを整理したうえで、併用のメリットと注意点を見ていきます。

とくに2026年から2027年にかけては、企業型DCの拠出限度額の引き上げ(2026年12月〜月6.2万円)をはじめ、確定拠出年金まわりの制度改正が続きます。こうした改正の節目は、既存の中退共とあわせて退職金制度全体を見直す好機ともいえます。

2. まず整理|中退共と企業型DCは「別モノ」

併用を考える前に、2つの制度がどう違うのかを押さえておきましょう。

項目中退共企業型DC
運営主体国が設けた制度(独立行政法人勤労者退職金共済機構が運営)会社が運営管理機関と契約
加入できる人原則、従業員(役員は原則不可※)従業員・役員(厚生年金被保険者で規約の加入資格を満たす人)
掛金の上限月3万円(短時間労働者は特例あり)月5.5万円(2026年12月〜6.2万円)
お金の増え方基本退職金(予定運用利回り1.0%)+付加退職金加入者自身が運用(増減あり)
受け取り原則、退職時に一時金(60歳以上など一定要件で分割可)原則60歳以降
国の助成新規加入・増額に掛金助成ありなし
掛金の負担全額会社負担いずれも事業主掛金(選択制は給与等からの振替)

※法人の役員は原則として中退共に加入できませんが、実態として労働者性が認められる一定の使用人兼務役員(代表取締役などを除く)は加入できる場合があります(詳しくは4章)。

念のため、それぞれの基本もおさえておきます。中退共の掛金は月5,000円〜3万円(短時間労働者は2,000円〜の特例あり)の範囲で従業員ごとに設定し、全額を会社が負担します。新規加入時や増額時には国の掛金助成もあります。企業型DCは、会社が掛金を上乗せする「会社拠出型」と、従業員が給与の一部を振り替える「選択制DC」の2つの入れ方があり、いずれも原則60歳以降に受け取る老後資産です。

大きな違いは、誰が入れるか(役員の可否)、いつ受け取れるか(退職時か60歳以降か)、お金がどう増えるか(固定的か運用か)の3点です。

中退共は「退職したらすぐ一括で受け取れる、確定額に近い退職金」。企業型DCは「60歳以降に受け取る、自分で育てる年金資産」。役割がそもそも違うため、片方に入っていても、もう片方を上乗せできるわけです。

中退共=退職時に受け取る「確定的な退職金」
企業型DC=老後に受け取る「運用型の年金資産」
性格が違うからこそ、足し引きではなく"重ねて"使えます。

3. 併用のメリット|「即受取の退職金」と「老後の年金資産」を両取り

併用の一番のメリットは、受け取りのタイミングが異なる2つの資産を同時に用意できることです。

中退共は退職時に一括で受け取れるので、転職・独立などのライフイベントにすぐ使えます。企業型DCは原則60歳以降の受け取りで、老後資金として長く運用できます。従業員から見れば「辞めたときのまとまったお金」と「老後の年金」の両方を持てることになり、採用・定着のアピール材料にもなります。

たとえば、従業員には中退共で毎月1万円を積み立てつつ、企業型DCで別に月1〜2万円を運用に回す、といった重ね方ができます。中退共側は退職時のまとまった一時金として、企業型DC側は老後の年金資産として育つ、という二層構造です。求人票に「退職金あり+確定拠出年金あり」と書けることは、同規模の他社との差別化にもつながります。

そして、経営者にとくに知っておいてほしいのが拠出限度額の話です。

💡 ポイント:企業型DCは、確定給付企業年金(DB)や厚生年金基金と併用すると、その掛金相当額のぶんだけ企業型DCの上限が下がります。ところが、中退共はこの「他制度掛金相当額」に含まれません。つまり、中退共に加入していること自体は、企業型DCの拠出限度額に影響しません。そのため、ほかにDB等の対象制度がなければ、企業型DCでは月5.5万円(2026年12月1日以降は月6.2万円)の拠出限度額を利用できます。中退共とDCを重ねても、DC側の枠は目減りしないということです。

もう一つ、お金の増え方の違いにも触れておきます。中退共は、加入者が運用商品を選んでリターンを狙う制度ではなく、掛金月額と納付月数を基礎に基本退職金が決まる仕組みです。現在の予定運用利回りは1.0%で、運用実績等によって付加退職金が加算される場合があります。一方の企業型DCは、加入者自身が投資信託などで運用するため、増える可能性がある反面、元本割れのリスクも従業員が負います。「増える可能性」と「減るリスク」はセットである点は、併用でも見直しでも共通の前提になります。

受け取るときの税金も、両制度で扱いが異なります。中退共の退職金や企業型DCを一時金で受け取る場合は退職所得として扱われ、年金形式で受け取る場合は公的年金等控除の対象になるなど、出口の設計しだいで手取りが変わります。とくに複数の一時金を近い時期に受け取るケースでは「退職所得控除」の重複調整に注意が必要で、具体的な取り扱いは受け取り方の記事や顧問税理士でご確認ください。

なお、中退共の予定運用利回りは法令改正によって変更される可能性があります。最新の水準は中退共の公式サイトでご確認ください。

4. 社長・役員はどうする?|中退共に入れないからこそ企業型DCが効く

ここまでは主に従業員の話でしたが、中小企業オーナーにとって見逃せないのが役員の扱いです。

中退共は原則として従業員向けの制度で、代表取締役などの役員は加入できません。 ただし、支店長・工場長・部長などの使用人としての職務を持ち、実態として労働者性が認められる一定の使用人兼務役員は、加入できる場合があります。いずれにせよ、代表取締役や専務・常務など経営を担う役員は対象外で、社長自身の退職金づくりに中退共は使えません。

一方、企業型DCは役員も加入できます(厚生年金被保険者で、企業型DC規約の加入資格を満たすことが前提です)。役員報酬の一部を原資に、社長個人の老後資産を「会社の制度」として積み立てられます。ここが「中退共だけでは埋まらない穴」で、中退共の対象にならない役員の退職金準備という点では、企業型DCが有力な選択肢になります。

つまり併用の典型パターンの一つが、「従業員の退職金は中退共で、社長・役員の退職金は企業型DCで」という設計です。もちろん、従業員も企業型DCに加入させて、全社的に老後資産づくりを底上げする形もあります。

役員が企業型DCを使う場合、会社が拠出する掛金は損金として扱われ、社長個人としては同じお金を役員報酬で受け取るよりも税制面で有利になりやすいのが特徴です(具体的な効果は報酬水準などにより異なります)。中退共では手当てできない「経営者自身の退職金」を、会社の制度として計画的に積み立てられる点は、オーナー経営者にとって大きな意味を持ちます。

5. 「資産移換」はできる?|中退共→企業型DCへ資産を移せる条件

「併用ではなく、いっそ中退共をやめて企業型DCに切り替えたい」。そう考える経営者もいます。ここで重要なのが、中退共に積み立てた資産を企業型DCへ"移換"できるのは、限られた場合だけだという点です。

現在、中退共から企業型DCへ資産を移換できるのは、主に次のケースです。

  • 事業拡大などで「中小企業」に該当しなくなった場合(中退共の加入要件を外れたとき)
  • 合併・会社分割・事業譲渡などで、従業員の労働契約が引き継がれる場合

かつては中退共からの移換先は確定給付企業年金(DB)や特定退職金共済に限られていましたが、法改正により企業型DCも移換先として認められました。ただし、移換できるのは中退共の解約手当金相当額の範囲内の金額で、対象となる従業員本人の同意が必要になるなど、ケースごとに要件があります。実際の移換にあたっては、中退共と企業型DCの運営関係機関の双方へ確認するのが確実です。

参照:勤労者退職金共済機構(中退共)「中小企業者でなくなった場合の資産移換

裏を返すと、通常の中小企業が「今の中退共資産をそのまま企業型DCへ移したい」と思っても、原則としてそれはできません。合併も規模拡大もない多くの会社にとって、現実的な選択肢は「資産移換」ではなく、次章で見る「併用」や「掛金の見直し」になります。

「解約」という選択肢とその注意点

どうしても中退共を整理したい場合、「解約」して解約手当金を受け取る道はあります。ただし注意点が多く、慎重な検討が必要です。まず、解約手当金は従業員本人に支払われ、税務上は原則として一時所得として扱われます。また、国の掛金助成を受けていた場合は、その相当額が差し引かれることもあります。なお中退共は、掛金の納付月数が11か月以下だと原則として退職金・解約手当金が支給されず、12〜23か月では掛金の総額を下回ります。掛金の納付期間が短い従業員がいる場合は、この点にも注意が必要です。

さらに、解約は原則として従業員の同意が前提で、会社が一方的に進められるものではありません。中退共を解約しても、その資産が企業型DCに移るわけではないため、「解約して乗り換える」という発想は、実務的にはハードルが高いのが実情です。多くのケースでは、既存の中退共は残したうえで、これからの掛金配分を考えるほうが現実的です。

中退共の積立資産を企業型DCへ移せるのは「中小企業でなくなった」「合併等」の場合に限られます。
通常のSMEでは、既存資産は中退共に残したまま、これからの掛金をどう配分するかを考えるのが現実的です。

6. 退職金制度の見直し|4つの選択肢と判断軸

では、すでに中退共に入っている会社が退職金制度を見直すとき、具体的にどんな選択肢があるのでしょうか。大きく4つのパターンに整理できます。

1中退共を続けつつ企業型DCを上乗せする(純併用)

今の中退共はそのまま維持し、企業型DCを新たに追加するパターンです。中退共の確定的な退職金を残しながら、老後の運用資産や役員の退職金を企業型DCで積み増せます。掛金負担は増えますが、中退共を減額する場合のように対象従業員一人ひとりから減額の同意を得る必要はありません。ただし、企業型DCの新規導入そのものには、過半数労働組合(なければ過半数代表者)の同意を得て規約を作成する労使手続きが必要です。まず役員だけ企業型DCで備えを始め、あとから従業員に広げるといった段階的な進め方もできます。

2中退共を減額し、その分を企業型DCに回す

ここが今回とくにお伝えしたいパターンです。「中退共の掛金を下げて、浮いた予算を企業型DCの掛金に振り替える」という見直し方です。中退共では運用によって大きく増やすことは難しいぶん、運用できる企業型DCに原資を寄せていく発想です。当社でも「中退共は残しつつ、今後の掛金配分を企業型DC側に寄せたい」というご相談をいただくことがあります。

ただし、実務上いくつか必ず押さえるべき点があります。

① 掛金の減額には従業員の同意が必要
中退共の掛金月額の減額は、その従業員が同意した場合か、現在の掛金を続けるのが著しく困難だと厚生労働大臣が認めた場合でなければできません。実質的な労働条件の見直しになりうるため、目的やメリット・デメリットをていねいに説明し、合意を得るプロセスが欠かせません。

② 中退共の既存の積立分は動かせない
減額はあくまで「これから」の掛金を絞る話です。過去に積み立てた分は中退共に残り、そのまま予定利率で運用され続けます(企業型DCへは移せません)。

③ 「確定・低利」から「自己運用・変動」への性格変化
中退共(ほぼ確定・1.0%)を減らして企業型DC(自己運用・増減あり)を増やすことは、従業員にとって「増える可能性」と「元本割れのリスク」の両方を引き受けることを意味します。ここは正直に説明する必要があります。

具体的にイメージすると、中退共で月2万円を拠出していた従業員について、同意を得て掛金を月1万円に下げ、浮いた1万円を企業型DCの事業主掛金に充てる、といった形です。会社の総額負担は変えずに、中退共と運用型の企業型DCの比率を組み替えられます。過去に積み立てた中退共の資産はそのまま残り、これから先の1万円分だけが企業型DCに切り替わる、というイメージです。

ただし、この振替が退職金規程上どう位置づけられるかは、別途確認が必要です。中退共の減額について本人の同意を得るだけでなく、退職金制度全体として従業員に不利益な変更にならないか、就業規則・退職金規程まで含めて確認しましょう。また、中退共の掛金を減額すると、増額時に受けられる「月額変更助成」が打ち切りになる点にも注意してください。

3中退共は現状維持で、今後の増額分を企業型DCに寄せる

既存の中退共は減らさず、これからの退職金の"上乗せ"を企業型DC側で行うパターンです。減額に伴う従業員同意のハードルを避けつつ、今後の積み増しを運用型に寄せられます。中退共の掛金を下げることに抵抗がある会社や、まずは小さく企業型DCを試したい会社に向いています。パターン2ほど大胆ではないぶん、移行のインパクトを抑えながら制度をアップデートできます。

4選択制DCで従業員自身に選ばせる

企業型DCには、会社が給与とは別に事業主掛金を上乗せする設計のほか、給与や生涯設計手当等として受け取るか、企業型DCの事業主掛金として拠出するかを従業員が選択する「選択制DC」という設計があります。いずれの掛金も、法的には事業主が拠出する「事業主掛金」です。選択制DCなら、従業員一人ひとりが「給与で受け取る」か「DCで積み立てる」かを選べます。

ただし選択制DCは、給与等を減額してその分を掛金に充てる仕組みのため、報酬の減額によって標準報酬月額の等級が下がった場合には、社会保険料も下がります。逆に、等級が変わらなければ社会保険料は下がりません。社会保険料が下がる場合は手取りや会社の負担が変わる一方で、将来の厚生年金や傷病手当金などの給付も下がる可能性があります。メリットだけでなく、この点も含めて設計・説明することが大切です。

(※会社が掛金を上乗せする「会社拠出型DC」では給与を振り替えないため、標準報酬月額や社会保険料には影響しません。選択制DCと混同しないよう注意が必要です。)

判断軸

どのパターンが合うかは、会社の狙いによって変わります。

判断軸中退共が向く企業型DC(併用・シフト)が向く
厚くしたい対象従業員の退職金役員も含めた退職金
受け取り時期退職時にすぐ使いたい老後資金として長く置ける
お金の増やし方確定的でよい運用で増やす余地がほしい
手続きの手間手間を抑えたいある程度の運営は許容できる

「従業員に確定的な退職金を、手間をかけずに」なら中退共の維持、「運用機会や役員の備えも」なら企業型DCの併用・シフト、というのが大まかな向き・不向きです。

会社の状況に当てはめると、たとえば「中退共は入っているが増えないのが気になる」「従業員にも運用の機会を持たせたい」という会社はパターン2の減額シフトが、「掛金負担を増やしてでも制度を厚くしたい」「まず役員の退職金を用意したい」という会社はパターン1の純併用が、それぞれ検討候補になります。実際には、これらを組み合わせるのが現実解になることが多いです。

7. 見直し前に確認すべき労務・実務ポイント

制度の見直しは、掛金の設計だけでなく労務面の準備もセットです。導入・変更の前に、次の点を確認しておきましょう。

  • 就業規則・退職金規程の整備:制度を変えるなら規程の改定が必要。どの制度で何を支給するかを明文化する。
  • 不利益変更にしない説明:とくに中退共の減額を伴う場合、従業員への説明と同意取得をていねいに行う。
  • 企業型DCのコスト:導入時の初期費用と、加入者ごとの運営管理手数料などランニングコストがかかる。
  • 運営管理機関の選定:手数料・商品ラインナップ・サポート体制を比較して選ぶ。ここで制度の使い勝手が大きく変わる。
  • 投資教育の実施:企業型DCは加入者自身が運用するため、継続的な投資教育が求められる。
  • 移行スケジュール:説明会・同意取得・規程改定・運営管理機関の選定など、数か月単位の準備期間を見込んでおく。

制度そのものの損得だけでなく、「従業員が納得して受け入れられるか」まで設計できるかどうかが、見直しの成否を分けます。

Q

中退共を解約して企業型DCに乗り換えるべきですか?

A

一概には言えません。中退共は退職時にすぐ受け取れる確定的な退職金、企業型DCは老後に向けた運用型資産と、役割が異なります。多くの会社では、どちらかに一本化するより併用するほうが選択肢が広がります。解約には解約手当金の扱いなど注意点もあるため、自社の狙いに沿って判断することをおすすめします。

Q

中退共と企業型DCの掛金は、どちらも会社の損金になりますか?

A

どちらも会社が負担する掛金は、原則として全額を損金に算入できます(詳細な取り扱いは顧問税理士にご確認ください)。従業員側でも、企業型DCの事業主掛金は給与課税の対象になりません。

Q

従業員が退職したら、両制度はどうなりますか?

A

中退共は退職時に、その従業員へ退職金が支払われます。企業型DCは原則として60歳まで引き出せず、転職先の企業型DCやiDeCoへ資産を移して運用を続けます(ポータビリティ)。

Q

社長だけ企業型DCに入ることはできますか?

A

企業型DCは役員も加入できるため、設計上は可能です。ただし制度は原則として従業員も対象にできる形で設計する必要があり、「役員だけ」で導入できるかは要件の確認が必要です。中退共は代表取締役などの役員が加入できないため、そうした役員の退職金準備は企業型DC側で考えることになります。

Q

中退共を減らして企業型DCに回すのは、従業員に不利ではありませんか?

A

減額には従業員の同意が前提で、確定的な中退共から自己運用の企業型DCへ性格が変わるため、「増える可能性」と「元本割れのリスク」の両方を引き受けることになります。一方で、過去に積み立てた中退共の資産が減るわけではありません。目的とメリット・デメリットを正直に説明し、納得を得たうえで進めることが大切です。

Q

中退共の掛金助成を受けながら、企業型DCも導入できますか?

A

できます。中退共の新規加入助成や増額助成は中退共側の制度で、企業型DCを導入したからといって直ちに影響を受けるものではありません。ただし、企業型DCに原資を回す目的で中退共の掛金を減額すると、増額時の「月額変更助成」が打ち切りになる点には注意が必要です。

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まとめ|中退共と企業型DCは「どちらか」ではなく組み合わせで考える

中退共に入っていても、企業型DCは併用できます。中退共の退職金と、企業型DCの運用型資産・役員の備えは役割が違うため、「どちらか一方」で考えるより、狙いに応じて組み合わせるのが基本の考え方です。

おさえる4点

  • 併用できる:解約は不要。中退共は企業型DCの拠出上限を減らさない。
  • 役員は企業型DC:中退共は原則、従業員向け。代表取締役など中退共の対象にならない役員の退職金は企業型DCで。
  • 切り替え(移換)は限定的:中退共資産をDCへ移せるのは、中小企業でなくなった場合・合併等のみ。
  • 減額シフトは同意が前提:中退共を下げてDCに回すには従業員の同意が必要。既存の積立分は減らない。

自社にとってどの組み合わせが最適かは、誰の退職金を・いつ・どう増やしたいかによって変わります。制度設計や規程の整備まで含めて、専門家と一緒に検討することをおすすめします。

参照した公的情報源

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本記事は、企業型確定拠出年金(企業型DC)に関する一般的な情報提供を目的として作成されています。記載内容は執筆時点の法令・税制に基づくものであり、今後の法改正・制度変更により内容が変わる場合があります。本記事は特定の投資行動・税務処理・法的手続きを推奨するものではなく、個別の状況に応じた専門的アドバイスの提供を目的とするものではありません。実際の導入・運用にあたっては、税理士・社会保険労務士・ファイナンシャルプランナー等の専門家へのご相談を強くお勧めします。本記事の情報を利用したことにより生じたいかなる損害・不利益についても、株式会社FGパートナーズは一切の責任を負いません。