退職金制度がない会社が今から作るなら何がいい?中退共・DC・保険を比較

「求人で他社と比べられる」「長く働いてくれる社員に報いたい」「そろそろ自分の退職金も考えたい」——。こうした理由から、退職金制度をゼロから作りたいという相談は少なくありません。

ただ、いざ調べてみると、中退共・企業型DC・法人保険とさまざまな選択肢が出てきて、どれが自社に合うのか分かりにくいのが実情です。

先に結論をお伝えすると、「どれが最強」という答えはありません誰のために・いつ渡すかがそもそも違うからです。とくに社長にとって重要なのが、中退共は原則として役員が使えないという点。ここを知らずに選ぶと、「従業員の退職金は用意できたが、自分の分はゼロ」ということになりかねません。

💡 ポイント:比較に入る前に、性質の違いを押さえておきます。中退共と企業型DCは退職給付の制度そのものですが、法人保険は、将来の退職金を会社が支払うための「原資を準備する手段」です。保険に入っただけで従業員に退職金の請求権が生まれるわけではなく、支給には退職金規程などの定めが必要になります。この記事では「退職金をどう準備するか」という観点から3つを並べます。

この記事では、経営者の視点で3つを比べ、自社に合う選び方を整理します。従業員のためだけでなく、社長自身の出口づくりまで含めて考えたい方に向けた内容です。

📋 この記事でわかること

  • 中退共・企業型DC・法人保険それぞれの位置づけと向き不向き
  • 掛金・保険料の税務と、役員に使えるかどうか
  • 社員がいつ受け取れるか、運用リスクやコストの違い
  • 会社のタイプ別の選び方と、作るときの手順・落とし穴

1. 結論|「どれが最強」ではなく「誰に・いつ渡すか」で決まる

まず全体像です。3つの制度を主な軸で並べると、次のようになります。

中退共企業型DC法人保険
位置づけ退職金制度企業年金制度退職金等の原資準備
主な対象原則、従業員規約の対象となる厚生年金被保険者契約の設計による
社長・代表者原則、対象外条件を満たせば対象被保険者にできる
会社の税務掛金は全額損金事業主掛金は全額損金商品・契約形態・受取人により異なる
社員への支給退職時に機構から本人へ原則60歳以降会社が退職金規程等に基づき支給
運用加入者は運用しない加入者本人が運用保険契約による
死亡時所定の退職金を遺族へ個人別管理資産による死亡一時金契約した死亡保険金
国の助成ありなしなし

こうして並べると、それぞれ性格がまったく違うことが分かります。制度を選ぶときは、次の3つを自問してみてください。

  • ① 社長・役員も対象にしたいか:したいなら中退共は候補から外れる
  • ② いつ渡したいか:退職時にすぐ渡すなら中退共や会社からの支給、老後資金なら企業型DC
  • ③ 運用のリスクを誰が負うか:会社か、従業員自身か

この3つの答えが決まれば、選ぶべき制度はかなり絞られます。逆に、ここが曖昧なまま「節税になるらしい」という理由だけで選ぶと、あとから「思っていたものと違った」となりがちです。とくに①は決定的で、社長自身の退職金を作りたいなら、選択肢は最初から絞られます。

2. その前に|「制度を作らない」という選択肢のリスク

そもそも退職金制度は法律上の義務ではありません。作らないという判断もあり得ます。ただし、経営者として考えておきたいリスクが2つあります。

一つは採用・定着への影響です。求人票に「退職金あり」と書けるかどうかは、同規模の他社と比較されたときに効いてきます。給与水準で大手と競うのが難しい中小企業ほど、制度の有無が差になりやすい部分です。

もう一つが、制度がないまま「そのときの利益から出す」やり方のリスクです。慣行として退職金を支給していると、実質的に支払い義務が生じることがあります。準備をしていなければ、退職が重なった年に一度に資金が出ていくことになり、業績の悪い年に限って支払いが発生する、ということも起こり得ます。

たとえば、勤続20年の社員が3人同時期に定年を迎え、1人500万円を支給するとなれば1,500万円。準備がなければ、その年の資金繰りを直撃します。

ここで押さえておきたいのが、税務上の違いは「いつ損金になるか」だという点です。内部留保で準備する場合、積立段階で退職金準備を理由に損金算入することはできません。一方、中退共や企業型DCは掛金を拠出した時点で損金になります。内部留保から実際に退職金を支給したときにも、その支給は一定の要件のもとで損金になりますので、「内部留保だから税制上つねに不利」というわけではありません。違いは、損金になるタイミングと、資金を事前に社外へ積み立てるかどうかにあります。

中退共や企業型DCなどの外部制度を使えば、将来の退職金資金を毎月計画的に社外へ積み立てながら、掛金を損金にできます。退職者が出た年に資金負担が集中するリスクを抑えられる点が、内部留保だけで準備する場合との大きな違いです。

3. 中退共|シンプルで手堅い。ただし社長は使えない

中退共(中小企業退職金共済)は、国が設けた中小企業向けの退職金制度です。会社が掛金を払い込むと、従業員の退職時に機構から本人へ直接、退職金が支払われます。

仕組みと数字

  • 掛金は月5,000円〜3万円の16種類から、従業員ごとに設定(短時間労働者は2,000円〜の特例あり)
  • 掛金は全額が損金
  • 新規加入時は、掛金月額の2分の1(従業員ごと上限5,000円)を加入後4か月目から1年間、国が助成
  • 給付額は、掛金月額と納付月数を基礎に決まる(現在の予定運用利回りは1.0%)+運用実績に応じた付加退職金

メリットは、手続きがシンプルで、国の助成があり、給付額の見通しが立てやすいことです。掛金以外の運用の手間もかかりません。

助成は実際に効きます。たとえば掛金月1万円で従業員5人が加入した場合、加入後4か月目から1年間、1人あたり月5,000円(掛金の2分の1)が助成されるため、5人で月2万5,000円、年間30万円ほどの負担軽減になります。制度を始める初年度のハードルを下げてくれる仕組みです(同居の親族のみを雇用する事業主など、助成の対象外となる要件もあります)。

一方、社長にとって見逃せないデメリットがあります。

💡 ポイント:中退共は原則として法人の役員が加入できません。 実態として労働者性が認められる一定の使用人兼務役員は加入できる場合がありますが、代表取締役など経営を担う役員は対象外です。つまり、中退共だけを作っても、社長自身の退職金にはならないということです。

そのほか、掛金の納付月数が11か月以下だと原則として退職金が支給されず、12〜23か月では掛金の総額を下回る点、いったん決めた掛金の減額には従業員の同意(または厚生労働大臣の認定)が必要な点も押さえておきましょう。

4. 企業型DC|役員も使えて、社会保険料も上乗せされない

企業型DC(企業型確定拠出年金)は、会社が掛金を拠出し、加入者本人が運用して、原則60歳以降に受け取る制度です。

仕組みと数字

  • 掛金の上限は月5.5万円(2026年12月からは月6.2万円。DB等の他制度がある場合は控除後)
  • 掛金は全額が損金
  • 事業主掛金は報酬にあたらないため、社会保険料の算定対象にならず、加入者の給与課税もない
  • 受け取りは原則60歳以降(一時金なら退職所得控除、年金なら公的年金等控除の対象)

社長目線での最大の利点は、役員も加入できることです。厚生年金の被保険者で、規約の加入資格を満たしていれば、社長自身の退職金を「会社の制度」として積み立てられます。中退共では埋まらない部分が、ここで埋まります。

もう一つ大きいのが社会保険料です。同じ金額を役員報酬や給与で増やすと、会社負担分の保険料も増える可能性がありますが、企業型DCの事業主掛金にはその上乗せがありません。同じ原資でも、社員や自分に届く効率が変わります。

社長個人で見ても、同じ資金を役員報酬で受け取れば所得税・住民税・社会保険料の対象になります。これに対し事業主掛金は、拠出時には給与として課税されず、受け取り時に一時金なら退職所得、年金なら雑所得(公的年金等控除の対象)として課税される仕組みです。会社としては損金にしながら、個人としては課税のタイミングを後ろへ動かせる点が、経営者に選ばれる理由です。

さらに、企業型DCの給付を受ける権利は、法律上、原則として譲渡・担保提供・差押えが禁止されています(国税滞納処分等は例外)。個人保証をしている経営者にとっては、事業のリスクと切り離して資産を置ける点も意味があります。

一方のデメリットは明確です。

  • 原則60歳まで引き出せない:退職時にすぐ渡す退職金としては使えません
  • 運用リスクは加入者本人:増える可能性がある反面、元本割れの可能性もあります
  • 運営コストと手間:初期費用・運営管理手数料に加え、労使合意による規約作成、継続的な投資教育が必要です

5. 法人保険|退職金の「原資」を準備する手段

3つめが、法人契約の生命保険を使う方法です。ここで改めて確認したいのが、法人保険は退職金制度そのものではないということ。会社が保険を持つことで、将来支払う退職金や死亡退職金の原資を準備する手段です。従業員へ実際に支給するには、退職金規程などの定めが別途必要になります。

法人保険にはさまざまな商品があり、税務の取り扱いは商品・契約形態・受取人によって変わります。定期保険や第三分野の保険では、最高解約返戻率などに応じた資産計上・損金算入のルールが別に定められています。「法人保険=半分損金」と一括りにはできません。

ここでは、退職金準備でよく使われる養老保険を例に見ていきます。養老保険は、満期を迎えれば満期保険金、その前に亡くなれば死亡保険金が支払われる保険です。保険料の扱いは、保険金の受取人を誰にするかでまったく変わります。

死亡保険金の受取人満期保険金の受取人保険料の取り扱い
法人法人全額を資産計上(損金にならない)
被保険者の遺族被保険者その役員・従業員への給与
被保険者の遺族法人2分の1を資産計上し、残りを損金算入(いわゆるハーフタックス)

💡 ポイント:「保険料の半分が損金になる」と言われるのは、死亡保険金の受取人が被保険者の遺族、満期保険金の受取人が法人という、この組み合わせの場合だけです。しかも国税庁は、役員や部課長その他特定の使用人のみを被保険者としている場合には、その部分はその役員・使用人に対する給与になるとしています。ここで誤解しやすいのですが、社長だけを被保険者にする法人保険そのものが禁止されているわけではありません。会社が社長を被保険者として保険に入り、将来の役員退職金や死亡退職金の原資に備える設計は可能です。注意が必要なのは、この2分の1損金の処理を使おうとする場合に、特定の役員・使用人だけを対象にすると給与として認定される、という点です。

メリットは、積立と同時に死亡保障が持てること、そして保険料に制度上の上限がないことです。従業員や役員に万一のことがあった際、その保障が備えになります。制度の対象者を制度側の要件で縛られない自由度もあります。

デメリットも見ておきましょう。

  • 税務の扱いが契約次第:全額損金の中退共・企業型DCと違い、商品・契約形態・受取人によって資産計上か損金かが変わります
  • 要件を外すと給与課税:ハーフタックスの2分の1損金を狙う場合、受取人の設定や対象者の範囲を誤ると想定した扱いになりません。従業員の大部分が同族関係者である場合も、福利厚生と認められにくくなります
  • 中途解約で元本割れ:早期に解約すると、払った保険料を下回ることがあります
  • 出口の設計が必要:会社が満期保険金や解約返戻金を受け取ると、資産計上していた保険料部分との精算が行われ、受取額と帳簿価額との差額が課税所得に影響します。退職金の支給時期と合わせるなど、出口の税務・資金繰りの設計が欠かせません

保険は「保障」という他にない価値がある一方、税務・出口の設計難易度は3つのなかで最も高いといえます。導入前に税理士や専門家と要件を確認してください。

なお、社長個人の死亡保障や、役員退職慰労金の原資として法人保険を使うこと自体は広く行われています。ただしその場合、会社が受け取った保険金を原資に死亡退職金を支給すると、その死亡退職金は企業型DCの死亡一時金と同じ「退職手当金等」の非課税枠を使う点には注意が必要です。「保険だから常に別枠」ではありません。

参照:国税庁「No.5363 養老保険の保険料の取扱い

6. 3制度を経営目線で比較する

ここまでを、社長が判断するための視点で整理します。

判断の視点中退共企業型DC法人保険
社長の備えになるか原則ならないなる(要件を満たせば)被保険者にできる(原資準備)
会社の税務掛金は全額損金事業主掛金は全額損金商品・契約形態等で異なる
社会保険料への影響影響なし影響なし(報酬でない)影響なし
社員が受け取る時期退職時に機構から原則60歳以降会社の退職金規程等による
運用リスクの所在加入者は運用しない従業員本人保険契約による
導入の手間小さい中〜大
死亡時所定の退職金を遺族へ死亡一時金契約した死亡保険金

掛金の損金という一点で見れば、全額損金の中退共・企業型DCが分かりやすいといえます。法人保険は契約次第で扱いが変わる分、設計の自由度と保障という別の価値があります。どこに重きを置くかで、評価は変わります。

社長自身の退職金については、目的で使い分けることになります。制度として毎月積み立てていくなら企業型DCが有力(中退共は原則、役員が使えません)。一方、会社側で原資を準備しておき、退任時に会社から役員退職慰労金として支給するという道もあり、その原資づくりに法人保険や内部留保を使うこともできます。役員退職慰労金は適正額であれば法人の損金になります。加えて、経営者個人で積み立てる小規模企業共済も選択肢です。

もう一つ、経営判断で見落とされやすいのがいつ渡す制度かです。従業員にとって「退職時にまとまった額を受け取れる」中退共と、「60歳以降の老後資金になる」企業型DCでは、同じ退職金でも意味合いが違います。若手が多く転職も想定される会社なら退職時に渡せる制度が響きますし、長期定着と老後の安心を打ち出したいなら企業型DCが合います。自社の社員がどちらを喜ぶかも、判断材料になります。

7. 会社のタイプ別|どれを選ぶか

実際の選び方を、会社の状況別に整理します。

従業員中心で、手間をかけずに始めたい

中退共が向いています。国の助成があり、手続きも比較的シンプル。運用の手間もなく、退職時に従業員へ直接支払われます。まずは小さく退職金制度を持ちたい会社の出発点になります。

社長・役員の退職金も同時に作りたい

企業型DCが中心になります。役員も加入でき、社会保険料の上乗せもありません。従業員にも老後資産づくりの機会を提供でき、「退職金制度あり」として採用でも訴求できます。原則60歳まで引き出せない点は、従業員への説明が必要です。

万一の保障もセットで持ちたい

法人保険が候補です。積立と同時に死亡保障を備えられます。ただし、税務の扱いは契約形態によって変わるため、ハーフタックスの2分の1損金を想定するなら受取人の設定や対象者の範囲を満たせるか、中途解約や満期時の出口をどう設計するかを、事前に詰めておく必要があります。

一人社長・役員だけの会社

中退共は原則使えないため、制度として積み立てるなら企業型DCが有力です。あわせて、経営者個人が掛金を払う小規模企業共済(掛金は全額所得控除)も組み合わせられます。会社側で原資を準備して退任時に役員退職慰労金を支給する形なら、法人保険も選択肢です。目的に応じて使い分けましょう。

実は「併用」が現実解

3つから1つを選ぶ必要はありません。従業員は中退共、役員は企業型DC、必要に応じて法人保険で死亡保障や退職金原資を補うといった組み合わせも考えられます。それぞれの性質を補い合う形で設計するのが現実的です。

とくに中退共と企業型DCは相性がよく、中退共に加入していても企業型DCの拠出限度額が減ることはありません(DBや厚生年金基金と違い、中退共は他制度掛金相当額に含まれないため)。「従業員には退職時に渡せる中退共、役員と老後資産には企業型DC」という二層構造は、多くの中小企業にとって現実的な着地点になります。

8. 作るときの手順と落とし穴

最後に、実際に制度を作るときの流れと注意点です。

  • 目的を決める:誰の退職金を、いつ、いくら渡したいのかを先に決める。ここが曖昧だと制度選びがぶれます。
  • 退職金規程を整備する:支給の対象・計算方法・支給時期を明文化する。制度と規程はセットです。
  • 小さく始める:一度上げた水準は下げにくく、減額には同意などのハードルがあります。無理のない掛金から始めるのが安全です。
  • 資金繰りと照らす:掛金は継続的な固定費になります。業績が悪い年でも払い続けられる水準に。
  • 出口を設計する:退職所得控除や、ほかの退職金との受け取り順序まで見ておく。
  • 社長自身の分も同時に考える:従業員の制度だけ作って自分の備えが後回しになりがち。役員が使える制度かを最初に確認する。
  • 専門家と組む:税務・労務の要件が絡みます。顧問税理士や社労士、制度の専門家と確認しながら進めましょう。

とくに落とし穴になりやすいのが、「節税になるから」だけで選んでしまうことです。退職金制度は、社員に長く働いてもらうための仕組みであり、社長自身の出口をつくる仕組みでもあります。税務メリットは選択の一要素にすぎません。

もう一つ大切なのが、従業員への説明です。せっかく制度を作っても、社員がその価値を理解していなければ、定着や採用の効果は生まれません。とくに企業型DCは「原則60歳まで引き出せない」「自分で運用する」という特徴があるため、導入時の説明と継続的な投資教育が制度の成否を分けます。作って終わりにせず、伝えるところまでを設計に含めておきましょう。

Q

退職金制度は必ず作らないといけませんか?

A

法律上の義務ではありません。ただし、慣行として支給していると実質的に支払い義務が生じることがあり、準備がないと退職時に資金負担が集中します。採用・定着の観点も含めて判断することをおすすめします。

Q

一番節税になるのはどれですか?

A

掛金の損金算入だけで比べれば、全額損金となる中退共と企業型DCが分かりやすいです。法人保険は商品・契約形態・受取人によって資産計上か損金かが変わるため、一律には比べられません。税務効果は会社の状況によって変わるため、顧問税理士にご確認ください。

Q

社長自身の退職金も作れるのはどれですか?

A

制度として毎月積み立てるなら企業型DCが有力です(中退共は原則、役員が加入できません)。このほか、会社で原資を準備して退任時に役員退職慰労金を支給する方法もあり、その原資には法人保険なども使えます。個人で備えるなら小規模企業共済も選択肢です。なお、養老保険のハーフタックス(2分の1損金)を使う場合は、特定の役員だけを対象にすると給与として扱われる点に注意が必要です。

Q

複数の制度を併用できますか?

A

できます。従業員は中退共、役員は企業型DCというように、目的別に組み合わせる設計が考えられます。中退共に加入していても、企業型DCの拠出限度額が減ることはありません。

Q

途中でやめたり、掛金を下げたりできますか?

A

制度によって条件が異なります。中退共の掛金減額には従業員の同意(または厚生労働大臣の認定)が必要です。法人保険は中途解約で元本割れの可能性があります。「下げにくい」ことを前提に、無理のない水準で始めるのが安全です。

Q

従業員が数人の会社でも作れますか?

A

作れます。中退共は少人数から加入でき、企業型DCも一人社長の会社で導入できます。ただし企業型DCは運営コストがかかるため、対象人数や掛金額と見合うかを事前に試算しておくとよいでしょう。

Q

いくらくらいの掛金から始めるのが現実的ですか?

A

一律の正解はありませんが、中退共は月5,000円から設定でき、企業型DCも無理のない額から始められます。いったん決めた水準は下げにくいため、業績が悪い年でも払い続けられる金額から始め、余裕が出てから増額していくのが安全です。

Q

すでに退職金を慣行で支払っています。今から制度化できますか?

A

できます。ただし、これまでの支給実績や勤続年数の扱いをどうするかは、退職金規程の整備とあわせて設計が必要です。既存の慣行を下回る内容にすると不利益変更の問題が生じ得るため、専門家に相談しながら進めてください。

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まとめ|「誰に・いつ渡すか」から逆算して選ぶ

退職金制度をゼロから作るとき、中退共・企業型DC・法人保険に唯一の正解はありません。中退共と企業型DCは制度そのもの、法人保険は原資を準備する手段と、位置づけから違います。対象者も受け取り時期も税務も違うため、「誰に・いつ・いくら渡したいか」から逆算するのが近道です。

おさえる4点

  • 中退共:全額損金・国の助成あり・手続きが簡単。ただし社長など役員は原則使えない。
  • 企業型DC:全額損金・役員も加入可・社会保険料の上乗せなし。ただし原則60歳まで引き出せず、運営コストと投資教育が必要。
  • 法人保険:退職金の原資を準備する手段で、死亡保障も持てる。税務は契約形態次第。ハーフタックスの2分の1損金は、特定の役員だけを対象にすると給与扱いになる点に注意。
  • 組み合わせも有効:従業員は中退共、役員は企業型DC、保障は法人保険と、目的別に補い合う設計も考えられる。

自社に合う制度は、従業員構成・資金繰り・社長自身の出口によって変わります。「従業員のための制度」と「自分の備え」は分けて考えたうえで、組み合わせを設計するのが近道です。制度設計から規程の整備まで、専門家と一緒に検討することをおすすめします。

参照した公的情報源

【免責事項】

本記事は、企業型確定拠出年金(企業型DC)に関する一般的な情報提供を目的として作成されています。記載内容は執筆時点の法令・税制に基づくものであり、今後の法改正・制度変更により内容が変わる場合があります。本記事は特定の投資行動・税務処理・法的手続きを推奨するものではなく、個別の状況に応じた専門的アドバイスの提供を目的とするものではありません。実際の導入・運用にあたっては、税理士・社会保険労務士・ファイナンシャルプランナー等の専門家へのご相談を強くお勧めします。本記事の情報を利用したことにより生じたいかなる損害・不利益についても、株式会社FGパートナーズは一切の責任を負いません。